Gordinho’s eyes North Shore 2014-15  ノースショアでカメラマンとして生き残る道

Gordinho’s eyes North Shore 2014-15 


新型はすぐに旧型になる。数台抜かす勇気を持つことこそ、カメラマンとして生き残る道か?

 

写真家・ポール・コーヘン Paul Cohen/A.K.A.Gordinho

1949年産まれ。サンディエゴ出身。70年代にハワイの大自然の魅力に取り憑かれハワイへ移住。ノースのビジュアルに魅せられ写真を始めて以来30年間 ノースチャージャーを押さえ続けるベテランカメラマン。

 

カメラマン仲間のほとんどは『またかよ』という位、しょっちゅう新しいカメラを買う。新型が出たらすぐに試してみたくなるらしい。けど俺は壊れたら買うタイプだ。自慢じゃないが、カメラがデジタル化された後に買ったカメラは一台だけ。別にそれを哲学にしてるわけじゃない。

 

ますますマーケットが縮まるサーフィンメディアの世界で、借金抱えることになったら、それこそ波の良い日にビーチに立てなくなる。それに新型はすぐに旧型になる。数台抜かす勇気を持つことこそ、カメラマンとして生き残る道じゃないかな、と。。。ま、、買えない言い訳と言われれば、それまでだが(笑)。もし君がきっとiPhoneの新型に飛びつかないタイプならその意味がわかるだろう:)

 

運命の日がやってきたのは、最悪にも波のシーズンに突入した時だった。カエナポイントに沈む夕日を撮ろうと構えていた時に、10年以上も付き合ってきた俺の右腕(CANON EOS-1D MARK2N)が、突然動かなくなった!!昔の電化製品で良く使う手で横からバシバシ上からバシバシと叩いてみたものの、うんともすんとも言ってくれない。波を見逃したくない。もちろんすぐにネットでオーダー。最新型のCANON EOS ー7D MARK2Nを!

 

『在庫あり』と書かれていたそのカメラは、数日中に届くはずだった。が、一週間たっても送られてこない!!! カメラ屋(ニューヨークのB&H)に連絡してみたところ『オーダーが詰まっていて実はすぐには送れない』と。。マジかよ。この間に波が入ってきたらどうするんだよ!!!


 

1月に入ると、カメラテストにしては贅沢な位の良い波が、連日の様に入ってきた。

 

 

ついにトリプルクラウンまで始まってしまった。しかし、ハレイワ戦いが始まってから最終コンテストのパイプマスターズまで、いやそれだけでない、コンテストとコンテストの合間(世界のトップを撮れるチャンス)の日々、一日たりとも風と天気がピッタリ決まった日がなかった。俺は宗教家ではない。が、神様が俺の見方をしてるのか?と思えるほど、そのカメラ待ちをしていた期間(アーリーシーズン)の波は最悪だった。

 

ようやく付いてきたインストラクションを見ながら使い方を習得。カメラが新型すぎて俺の持っているiPhotoにはダウンロードできなかったり、確実に使える様になるのにかなりの時間を費やしたものの、間に合ったのだ。本当のサーフシーズンに!!1月に入ると、カメラテストにしては贅沢な位の良い波が、連日の様に入ってきた。

 

しかも撮影を可能にしてくれたのは、波&新型カメラだけではない。(アーリーシーズンの波が悪かっただけに)縛られていた状況から解き放されたかの様に、エキスパートたちが狂った様に波に武者振り付いてくれたんだ。その様子を皆にもシェアさせていただこう。

 

 

 

 

Shane Dorian シェーン・ドリアン

トリプルクラウンの合間に波が良かったのは、この日だけだった。中型のオフザウォールで光るのはチューブライディングではなくカービング。波とラインのコントラストが奇麗に出ている。トップターンがスムースなドリアンは、届いたばかりのカメラを試すのにはもってこいの被写体だった。

Rob Machado ロブ・マチャド

年々込み具合の激しくなるオフザウォールだが、コンスタントに波を捕まえ、いかにもサーフィンが簡単であるかの様に見せるところが、彼が多くの若手サーファーから尊敬されている理由だろう。ちなみに日本のファンの為に顔が写っているトップターンの写真を探したが、一枚もなかった。スタイル&イメージを大切にすることも確かにサーファーとして生き残るタクティクスだといえど、本人はうざったくないんだろうか?

Jamie O’ Brien ジェイミー・オブライアン

大抵のサーファーなら、今シーズンの様に波が良い日が少なかったシーズンでのエピックデイは、最上のボードで挑むだろう。が、ジェイミーはソフトボードで登場。しかも持っているこの2枚をチューブ内でスイッチさせるという、スゴ技を成功させた! 数年前まで飽きれてみていたものの、世界中のアテンションを集める為に徹底した彼の態度は、認めざるを得ないよな。

Gavin  Beschen  ギャビン・ベッシェン

1月の始めにバックドアの波が決まったその日、誰よりもクリティカルに攻めていたのがゲビンだった。シェーン(ベッシェン)との不仲説や、突然、彼らの家の前にセールサインが立てられた為に産まれた)ファイナンシャル問題の噂を聞いていただけに、ヘルシーなこのチャージになんだかホッとした気分になった。

Shun Murakami  村上舜

今シーズンはいつになくジャパニーズキッズがメインスポットでチャージしている。特にこのキッド。バックドアがマキシマムなサイズだというのに、ものすごく自信を持ってテイクオフ〜クリティカルなスポットから逃げることなくドライブしていた姿は、とても印象的だった。

Carissa Moore カリッサ・ムーア

未だメインポイントで波乗りをするレディースサーファーがほとんどいない。が、オフザウォールが決まった1月。俺は逃したが、バックドアではココ•ホーが、オフザウォールではカリッサが チャージ。メンズとの技術的な差は著明だが、それでも上を目指そうというレボリューショナル的な態度は、さすがとしかいい様がない。

John John Florence ジョン・ジョン・フローレンス

バレルライドにエアー。やはりバネのある若手サーファーを押さえるのは、とても楽しいことだ。特のジョン・ジョンは、こちらが期待する場所で期待する技を決めてくれる。ほぼ確実に!そして、ついに4度目のボルコム・パイプ・プロの優勝も決めてしまった。

Joel Tuder  ジョエル・チューダー

飛んだり跳ねたりすることはないが、玄人が好むスムースなラインを描く彼。俺はあまり名前は覚えない方で『あのロングボーダー、、ほら、、人気あるやつ、、、奇麗に乗ってたよ』と家に帰りワイフに伝えるとすぐにジョーチューダーと答えが返ってきた。ワイフは20年前に彼にインタビューを依頼し、キッパリ断わられた。だからこそ彼の名前は脳裏に焼き付いているということだ。(笑)

Unknown アンノーンサーファー

このエアーをしている彼の名前を知っている人がいたら、教えて欲しい。パイプが8フィートある時にショルダーの4フィートくらいの波を捕まえ、(特にスピードを貯めている様にも見えず)普通に乗っていたかの様に思えたがリップに当てた瞬間、空中にいとも簡単に飛び出したんだ!まるで羽でもついているかの様に。

Kelly Salter  ケリー・スレーター

俺が彼のサーフィンを選んだ訳は、『サーフィン』をしていたから。俺が思うサーフィンは波の中腹でターンをしバレルにそのまま入っては抜ける若手たちがやるそれじゃない。オッキーやトムカレン、トムキャロルも見せていた様に、波と一体となりボトムでしっかりドライブするという事だ。彼がその世代の最後の生き残りかもしれない。

Fred Patacchia フレッド・パターチア

同じ世代の仲間たち、例えばジョー・センテイオやマイク・ドット、ニック・ミタ。みんな歳を重ね、父親になった。そうなった彼らは自然に身体がまっすぐになってくる。唯一彼だけは、締まった体格をキープしている。さすがトップツアーサーファーだ。きっと今でも厳しく食事コントロールをしているんだろう。1月のハレイワで撮った写真。

Kekoa Bacalso ケコア・バカルソ

ケコアには、フレッド・パターチアとは逆の意味で驚かされる。1月のハレイワで、ビール腹が目立つこの体格から想像できるサーフィンとは逆で、波の上ではガンガン攻めていた元ツアーサーファーのケコア。海から出てきた後も疲れている様子はなし。サーファーも決して見た目で判断してはいけないんだよな

Jack Johnson ジャック・ジョンソン

ハレイワアリイが6フィートある時、1人ピークのピークでたまに入る一番大きなセット波を狙ってロングライドを決めていたのが『娘たちから絶対みたら撮るように!』と言われていたシンガーの彼。海から上がった後、俺の隣で友人とたわいない話しをしてた時の声と、娘が聞かせてくれた彼の歌声とは全く違うんだよな〜。まさかオートチューンを使ってるとは思えないが。(笑)