喜納海人と宮坂莉乙子がJPSA初優勝。ショート第3戦「夢屋サーフィンゲームス 田原オープン」

喜納海人と宮坂莉乙子がJPSA初優勝。ショート第3戦「夢屋サーフィンゲームス 田原オープン」 


初優勝の喜納海人と宮坂莉乙子

 

 

2014年10月4日(土)愛知県田原市:手に汗握るハード・コンディションで行われた鴨川マルキの興奮冷めやらぬまま、再び台風が接近し、ビッグスウェルが炸裂する愛知県田原市のロコポイントにおいて、延期となっていたJPSA第3戦「夢屋サーフィンゲームス 田原オープン」が再開となった。

今回は、セミファイナルまで勝ち上がった女子8名、男子はクオーターファイナルを1ヒート行ったため、セミファイナル進出が決定した高梨直人、善家尚史の2名に、残りのクーターファイナル3ヒートの12名の計14名。合計22名による9ヒートが行われた。

 

早朝は素晴しいAフレームのブレイクを見せたコンテスト会場

 

 

沖縄の南東海上を北上してくる非常に強い台風18号からの南東ウネリが南ウネリにシフトしつつ更に強まるなか、クローズアウトせずセットは頭半と充分なサイズをキープ。しかし激しいオフショアでボードコントロールは難しく、且つテイクオフポジションもシフトするトリッキーなコンディションに番狂わせが続出した。

 

ファイナルでは素晴しいスタートダッシュを見せた喜納海人

 

男子セミファイナルヒート1では、喜納海人と小林直海に、ランキング2位の高梨直人と3位の仲村拓久未のふたりが自分のサーフィンを見せること無く破れる波乱の展開。セミファイナル2にランキングトップの辻裕次郎が登場して、レフトの波に的を絞り、フォアハンドのカーヴィング・コンビネーションでファイナル進出をあっさりと決めていった。

 

着実に順位を上げている小林直海は今回2位。次は優勝だ!

 

男子ファイナルは、辻裕次郎、善家尚史、喜納海人、小林直海というメンツが顔を揃えた。そんなファイナルのオープニングウェイブを掴んだのは喜納海人。ビッグライトを掴んだ喜納海人は、パワフルなカーヴィングターンを繰り出し、クリティカルセクションでもビッグスナップ。7.50をスコアして、素晴しいスタートを見せる。続けて善家尚史がフォアハンドでチャージし5.75をスコア。そのあと辻裕次郎もバックハンドからレイバック・スナップを見せて、6.15というハイスコアをマーク。

 

際どいセクションで板をかえす辻裕次郎

 

後半に入り、5.60をバックハンドでスコアする辻裕次郎は、ヒートスコア11.75としてトップに躍り出る。そこまでじっくりと波を選んでいた小林直海がビッグレフトに大きなマニューバーを描き7.50というハイポイントをマーク。喜納海人も6.20をスコアして、トップの座を奪い返す。

 

 

ライトに乗ってはビーチを走り、左側の堤防脇からパドルアウトする選手達。積極的に波を掴んで行く辻裕次郎は、バンクハンドで際どいセクションに板を運び、急速に板を蹴り出して大きなスプレーを上げて6.45をスコアして2位をキープした。そして残り時間5分を切り、3位の小林直海がライトブレイクで5.90をスコアして2位となるも、そこでタイムアップ。喜納海人がJPSA初優勝を決めた。

 

 

喜納海人

 

 

宮坂莉乙子が終了間際の大逆転でJPSA初優勝。


初優勝を決めた宮坂莉乙子

 

女子のセミファイナルでは、ランキングトップの田代凪沙がファイナル進出を決める一方で、トップの田代との差を縮めるためには、絶対に負けられなかった谷口絵里菜、庵原美穂というグラチャンを争う2名の選手が、敗退するという番狂わせが発生した。

 

 

田代凪沙

 

ファイナルは、田代凪沙、川合美乃里、水野亜彩子、宮坂莉乙子の戦い。強烈なオフショアで板が降りて行かない厳しいコンディションの中、オープニングウェイブで田代凪沙が  セットのライとを掴み、5.25をスコアしてスタートダッシュを見せる。

 

水野亜彩子

 

水野亜彩子もビッグライトをキャッチして、バックハンドでチャージし4.25をスコア。レフトハンダーの宮坂莉乙子も掘れたグッドライトを掴み、際どいセクションでのターンを繰り返し、5.50をスコア。川合は思うような波を選べないなか、バックハンドでチャージするもワイプアウト。ファイナルは精彩を欠く。

 

宮坂莉乙子

 

試合は後半戦となり、順調にスコアを重ねる田代がヒートスコア9.90でトップ。2位は6.50をスコアした宮坂。水野はバックアップを探し続ける。そして、ロングウォールのビッグセットを掴んだ田代が、6.75をスコアして、トップのポジションを固める。ヒート終盤に水野が2位に浮上。しかし、3位の宮坂が、レイト気味にレフトブレイクにテイクオフ。フォアハンドで、カーヴィングターンのコンビネーションを見せた宮坂は、そのラストライドで6.75をスコア。大逆転で初優勝を手に入れた。

 

 

辻裕次郎と田代凪沙がランキングトップを維持。

 

気になるグラチャン争いは、ランキング2位の高梨直人と3位の仲村拓久未のふたりがセミファイナルで破れ、辻裕次郎がファイナルまで残り3位となったため、順位は変わらずに辻裕次郎が下位の選手に700ポイントあまりの差を付けて、リードを大きく広げることとなった。

 

全 7戦の上位6戦のポイント合計で年間ランキングを決定するJPSA。最終戦が1.5倍のポイントがつくことになっているため、現段階での5戦にアジャストしてみると、1戦欠場している辻と仲村はそのままのポイントが適用され、高梨は7070から800をマイナスで、6270ポイント。すると1位の辻が 7777ポイントに対し、仲村7020ポイントで2位、高梨3位となる。

 

 

同じく女子も、ランキング2位の庵原美穂、3位の谷口 絵里菜がセミファイナルで敗退。ランキングトップの田代凪沙が2位となったので、更にリードを広げることとなった。また今回はランキング4位だった水野が3 位入賞したため、ランキングを3位に上げた。そして2位に庵原、4位に谷口というランキング。女子はアジャストしても順位に変化は無い。

 

最終戦の舞台は再び鴨川のマルキポイントへ。決戦は10月17日(金)~19日(日)。

 

泣いても笑っても残り1戦となったJPSAショートボード2014。辻裕次郎が逃げ切り悲願のグランドチャンピオンを獲得するのか。それとも仲村拓久未、高梨直人がそれを食い止め、栄冠を勝ち取るのだろうか。果たして、どんなドラマが待ち構えているのか。

 

 

 

JPSA ショートボード第3戦「夢屋サーフィンゲームス 田原オープン」

男子
優勝 喜納海人
2位 小林直海
3位 辻裕次郎
4位 善家尚史

女子
優勝 宮坂莉乙子
2位 田代凪沙
3位 水野亜彩子
4位 川合美乃里

 

 

素晴しい波を選手に提供したロコポイント

 

 

取材、撮影、文:山本貞彦

 

 

延期になっていたJPSA ショートボード第3戦「夢屋サーフィンゲームス 田原オープン」。
今回の会場もロコポイント。
なんと台風18号からのウネリが届き、頭から頭半。セットはそれ以上ある。
風がオフショアの強め。おかげで、クローズせず。

風は本当に強かったねー。
全然、板が降りていかない。
流れもあるし、選手は苦労していました。

ただ、沖のアウトのセットはでかいものの、ダラダラ。
リップで板を上げるものの、張ってこないからタイミングを取るのが難しかったようだ。
でも、サイズがあって、オフショア。
天気も晴れて、完璧でした。

 

 

喜納海人

喜納海人。初優勝!板が調子良かったという海人。やはり、ハワイ仕込のパワフルなサーフィンはデカイ波にはまる。カッコ良かった。おめでとう!

高橋健人。今回、海人に帯同。細かくコーチングとサポート。(カイト、ケント、リオコ)

怪我がまだ回復してないにも係わらず、ビーチまで走ってアドバイス。頑張りました!良かったね。

小林直海。決勝で魅せたレフトの波でのリエントリー。キレてました。変に力が入っていないところが、流して見える時があるけど、それもフローを意識してか。メリハリつければ、なお良し。

辻裕次郎。高梨直人、仲村拓久未が相次いで敗退するも、ゴーイングマイウェイ。あまりグラチャンとか意識せずサーフィンができていることが今年の強さ。精神面でも大きく成長した。
裕次郎の強さは、波のコンディションに合わせて、演技を組み立てることができること。そのクリエイティブな演技、意外性があって新鮮。イイね!

善家尚史。デカイものの、クセある波。湘南勢は強いんです、こういうコンディション。尚らしいスピードある演技は良かった。

仲村拓久未。今回は優勝と意気込んで会場入り。QFではキレキレの演技でぶっちぎり。このまま行くかと思われたが、コンディションが上げにかわり、オフショアもキツくなり、SFでは波の選択に迷いが出たか。

宮坂莉乙子。もともと女子の中でもパワーとスピードを持ち合わせた選手。しかし、波に左右されるところで、勝ちに恵まれなかった。しかし、今回はハマったし、決勝では冷静だったね。最後の逆転ウェーブでも気を抜かず、きっちり締めた。これができるようになれば、強くなるよ。おめでとう!

田代凪沙。昨年にプロ転向したと思えないほど、上手い。ただ、パドルに難ありか。乗れば問題ないけどね。あとはバリエーションが増えれば、常勝間違いなし。

水野亜彩子。もー、本当に勝たせてあげたい。諦めない気持ちの強さは、プロなら見習うべき。今年の最終戦に期待!

川合美乃里。この波のデカさ、オフの強さには手こずっていたように見えた。やはり経験不足か。でも13歳。まだまだこれからだ。この実戦での経験を糧に次を目指そう。

庵原美穂。サーフィング中に板を額に当て、裂傷を負う怪我。しかし、応急処置して、もう一度沖に向かう。アスリートとしてのプライドを見た。

セミファイナルで惜しくも破れた田中英義
小川幸男もセミファイナルで惜しくも敗退

 

 

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