ジョン・ジョン・フローレンス・インタビュー

 

ジョン・ジョン・フローレンス・インタビュー

photos by snowy / interview by peter‘Joli’wilson

 

世界ナンバーワンのバレルライダーに進化したジョン・ジョン・フローレンス(HAW)。今回のタヒチでも、それを再び定義するかのように10ポイントライドを2本スコア。彼がリスペクトする『A・Iアワード』も獲得した。

不可能を可能とする彼のパフォーマンスは、ヘビーなコンディションだけでなく、エアリアルを含むクリティカル・マニューバーにおいても一目を置かれ、世界のサーフィンのスタンダードをプッシュし続けている。そんな世界が注目するジョン・ジョン・フローレンスにインタビューを試みた。

 

 

まず昨年から今年前半あたりの話から聞きたいんだけど、1月のボルコム・パイププロ。同じイベントで3年連続で優勝するなんて凄いことだよね。そして昨年はツアーランキング4位、そして新人王。飛ぶ鳥を落とす勢いとは君のことを言うんだね。

JF:超クレイジーだよ(笑)。そういうことをひとつひとつあげれば、すごく良いように聞こえるね。自分がそれが出来てうれしいし、楽しかったよ。今シーズンが始まるのが、すごく楽しみだったんだけど、ま、ちょっと怪我もしちゃったし、思い通りにはいってないよね。

 

 

“いつでもどこでも起こりうる事故。たまたまそれがコンテスト中だった”

 

怪我の具合はどう? 初戦だったから、みんなビックリしたと思うけど、実際はどんなふうにやっちゃったの?

JF:初戦のクイックシルバープロのエクスプレッションセッションの時だったんだ。みんなとにかくすごいビッグエアーをかましててさ、アナウンサーもすごく興奮して大声でわめきたててた。ほら、もうそうなると、自分もやりたくなっちゃって、ついデカイのやって、フルロテーション、フラットな所に着地。その瞬間、まだ僕の後ろ足はちゃんと板の上にあったんだけど、残念なことに、足首をひねった状態で全体重がかかった感じ。事故だよ。エアーをやるなら、いつでもどこでも起こりうる事故。たまたまそれがコンテスト中だったわけだけど。

最初、うわ、超痛いって思って、こりゃ相当ヤバいと思った。すごく腫れてきて、一晩でパンパンになっちゃってね。MRI撮ったんだけど、膝も問題なし、足首も問題なし、右足の足首の腱をひどく痛めただけって話だった。現実よりちょっと軽めに言ってくれたんじゃないかって思うけど(笑)。

 

“ツアーで一番学んだのは、とにかく試合に集中し続けることが必要だということ。”

 

昨年の最大のチャレンジは何だった?

JF:そうだな、ツアーで一番学んだのは、どう集中し続けるか、ってことかな。ぼくだけじゃなくて、ツアーにいる選手みんなが言ってることなんだけど、とにかく試合に集中し続けることが必要なんだ。それができるようになるまでに半年以上かかったかな。たぶんそれが、誰にとっても最大のチャレンジだと思うよ。

 

昨年1年で一番嬉しかったことは?

JF:いろいろあるよ。でも生涯で一番うれしかったこと、って言わなくちゃならないのは、昨年ブラジルのリオで優勝したことだろうね。信じられなかったよ。スナッパーロックスからスタートして、ホームのパイプで終わる。フルで1年間ツアーをまわって、最終的にランキング4位なんてさ、それは自分が想像してたのとはまるで違ったね。出来すぎ。自分が今までやってきたことに対するものすごいご褒美だと思う。その上、終盤までワールドタイトル争いにからんでたなんてさ、考えるだけでクレイジーだよ。

 

去年はルーキーだったけど、今年は当然マークがキツいんじゃない? 何か策は考えているの?

JF:あのツアーにはマークしなくちゃいけない選手はほかにも山ほどいるさ。これといった策はないけど、ヒートごとに、勝つためのマインドセットをしていかなくちゃならない。パーコ、ミック、ケリーなんか、超タフなヒートだしね。メディーナみたいなヤツも気をつけなくちゃ。彼はコンテストマシンだから。

 

 

“3年連続優勝で、トリプルクラウンの敗北を打ち消すことができた感じかな。”

 

トリプルクラウンを獲得した翌年のトリプルクラウンはどうだった?プレッシャーとか感じたのかな?

JF:そんなプレッシャーは感じなかった。確かにあまりいい成績じゃなかったね。トリプルクラウンの最初の2試合はあまり集中できてなかったってのが正直なところ。WCTのサンタクルーズから戻ったばかりで、またフルでコンペモードに入るってのが難しかったかな。よくわからないけど、リラックスしすぎてたのかもね。集中できてなかったし、ヒートではいい波が取れなかった。

二つ三つミスを犯して、もちろんああいう試合でミスしたら、それは即負けにつながる。特にシーバス(セバスチャン・ジーツ)みたいにハレイワで優勝して、サンセットで3位なんて乗っているヤツがいれば、ミスは命とりさ。

終わったあと何日かは悔しかったけど、すぐ立ち直ったよ。何よりホームにいることがうれしくてさ。

そのトリプルクラウンの敗北と、パイプマスターズでの出来の悪いヒートを自分のボルコムプロへのモチベーションアップのために使ったね。ボルコムパイプでは、なんとしてもその穴埋めのためにも上手くやりたかった。優勝できたときは信じられなかったよ。3年連続優勝で、トリプルクラウンの敗北を打ち消すことができた感じかな。

 

 

長いこと自分の目標にしてきたことがWCTに入ることだった。

 

小さい頃から注目されて来て、世界ランク4位なんて想像出来た?

JF:とにかく、長いこと自分の目標にしてきたことがWCTに入ることだった。だからリオで優勝したのは本当にびっくり。その上、初めてフルで回った年のランキングが4位って、もうびっくりというか、クレイジーだと思うね。今でもそう思うよ(笑)。

 

“トップグループにいるには、全部できなくちゃダメってことなんだよ。”

 

エアーやフリップなんかの進歩的なサーフィンがツアーの主役になっていくのか、あるいはちょっとパワーサーフィンやバレルなんかを主体とした方角に戻っていくと思う?

JF:みんな僕のことを、メディーナやジュリアンや、ほかの若いサーファーたちなんかと同じカテゴリーに入れたがるからさ、そういう新しいサーフィンは重要なんだろうなと思う。でもね、ワールドタイトルを取るって話になるとさ、全部できなくちゃいけないんだ。例えばパーコを見てよ。彼はなんだってできる。ビッグエアーも、ビッグターンもバレルも。もう長いことワールドタイトルを取るに値する実力のある選手だったよね。ツアーで上位に君臨するためにはさ、絶対に全部できなくちゃダメなんだ。ケリーもそう。ずっとトップにいるけど、彼の進化は止まってない。とにかくね、トップグループにいるには、全部できなくちゃダメってことなんだよ。

 

 

君がインスパイヤーされるサーファー、一目を置くのは誰?

JF:アンディ・アイアンズ。彼のやる事はすべて、ずっと見てたね。あと、トム・カレンも。あとは……(笑)、ママかな。

 

去年からスポンサーが変わると噂になっていたけど、多くの会社からアプローチがあったの?

JF:テリー・ハーディ(ジョンのマネジャーで、ASPを買収したゾシーという会社のメインディレクターでもある)とママ(ジョンのマネジャー的役割もしている)から話があって、当時ちょうど、どんなオファーがあるのか興味を持っていたところだったんだ。いろいろ比べて、ハーレーが一番ピッタリくる感じだった。オニールは子供の時からずっと世話になってきたし、長い間サポートをし続けてくれたから本当に感謝してるけど、まぁ、今が変わり目ってことなのかな。

ハーレーのチームライダーになれたのは最高だよ。ボブ・ハーレーやパット・オコーネルみたいなクールな人がいて、試合にいくのに最高のサポートチームがあるからね。

 

“アンディ・アイアンズ。彼のやる事はすべて、ずっと見てたね。”

 

 

今シーズンの目標は?

JF:ま、序盤つまづいちゃったから、とにかく少しでもいい成績を残すように頑張るしかないかな。大きな目標はもちろんワールドタイトルを取ることだけど、それには何年かかるかわからないしね。昨年はあんなにワールドタイトルの近くまで行ったのがホントにクレイジーだったけど、そこからいろんなことを学んだよ。特に集中することをね。

 

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このインタビューのあと、ジョンジョンはツアーに復帰。しかし、足首には痛々しいコルセットがつけられていた。それは効き目あるの?  と聞くと、「う~ん、わからないけど気分的には安心できるんだよ」。と答えた。

復帰後の成績は、ボルコムフィジープロで3位、オークリープロバリで9位。ま、この9位はパーコが20点満点を出してしまったヒートなので仕方がないといえば仕方がない。ジョンだってちゃんと9点2本決めているのだ。

そしてフィジーではドライリーフのクローズアウトセクションでバックサイドのフルローテーションを決め、バリではコンテストであれだけ高さのあるものは見たことがないほどのフロントのノーハンドエアー。そして、タヒチでは深いバレルをメイクして、10ポイントライドを2本スコアして5位。

まぁどっちを見ても、あの足首のコルセットがよほど効果的なのか、ジョンがすっかりケガを克服したのか、彼のサーフィンには何の問題もなさそうだ。

どちらにしても、もう前半のツアーは終わってしまった。だから、ジョンが今シーズンワールドタイトル争いにからむことはないだろう。でも、どうやらまた一つ強さを増してツアーに戻ってきたことは確かなようだ。トップ34の連中にとっては、あまり喜ばしいニュースではない。

 

 

 

プロフィール:

DOB:1992年10月18日:
ハワイ、ホノルル生まれ
ハワイ、オアフ島ノースショア在住
身長:6’0(183cm)
体重:168ポンド(76.2kg)
スタンス:ナチュラル(レギュラー)
スポンサー:Hurley(ハーレーhttp://www.hurley.jp/
バンズ・フットウェア、スパイ・サングラス、ニクソン・ウォッチ、
モンスターエナジードリンク、フューチャーフィン、ジャック・サーフ・ショップ
シェーパー:Pyzelサーフボード
マジック・スティック:5’11 x 18 1/4×2 1/4
トレーニング・グラウンド:パイプライン
お気に入りの波:パイプライン:
お気に入りマニューバー:バレル
インスピレーション:自分の母、トム・カレン、アンディ・アイアンズ

 

http://www.aspworldtour.com/surfers/mens-profiles/john-john-florence/