JPSA最終戦で喜納元輝が優勝。初のJPSAグランドチャンピオンを獲得。

JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」で喜納元輝が優勝し、奇跡のJPSAグランドチャンピオンを獲得。 


グラチャンを獲得した植村未来と喜納元輝

(2012年11月18日日曜日)JPSAロングボード最終戦「 KAIDO 鴨川ロングボードプロ」は大会最終日。嵐のような状況から一夜明けて、天候は回復し、風がオフショアに変わったたものの、波はゲッティングアウトも厳しいハードなコンディションのまま。しかし、波は落ち着き始め、コンテストは今シーズン最後のファイナルデイに相応しい、ビッグ・サーフでのドラマチックな一日がスタート。試合は昨日中断となった男子ラウンド3のヒート7から再開。そしてラウンド4、クオーターと消化していった。

 

カレントリーダーの尾頭信弘がクオーターで敗退する想定外の展開。
尾頭信弘

クオーターファイナルのヒート1では、グラチャン経験者3名が顔を揃え、デッドヒートを展開。松山 欣則と森 大騎がラウンドアップ。ヒート2では、右奥のビッグセットでハイパフォーマンスを披露した石塚晃と、後半バックハンドの長いハングファイブで大逆転した新城譲がラウンドアップ、ヒート3ではグラチャン争いの喜納元輝が圧倒的なバックハンド・サーフィンで圧勝。2位にダークホースの茨城出身である岡部 祐司が入った。

そして、注目の尾頭のヒート4がスタートした。尾頭はひとり左奥のレフト狙い。他の選手がライトでポイントを重ねる中、尾頭は比較的肩のない波が多いレフトに手を焼き、スコアリング・ウェイブを見つけられず苦戦する。ファーストライドで5.50をスコアしていた桜岡 甲太はダントツ1位。2位になんとか尾頭信弘が付け、このままヒート終了かと思ったが、終了間際に佐藤広がバックハンドで長いハングファイブを決めて大逆転。尾頭は3位に転落しまさかの敗退。これで尾頭の自力でのグラチャンは無くなった。

尾頭信弘。 クオーターファイナル敗退後、何を思う。

 

喜納元輝は大逆転でファイナルへ進み、グラチャン獲得への望みを繋いだ。
岡部 祐司

男子セミファイナルのヒート1では、セット波を捕らえて、ハングファイブからカービングのコンビネーションに加え、クローズアウトセクションでのアプローチも見事にコンプリートして7.50をスコアしたダークホースの岡部 祐司が1位で、またスタートからハングファイブとカービングとコンビネーションで6.75をスコアした新城譲が2位でファイナル進出を決めた。

新城譲

そして、グラチャン争いの喜納元輝のヒートがスタート。クオーターで尾頭信弘が敗退したため、喜納元輝は優勝すればグランドチャンピオンを獲得出来る。喜納元輝はプレッシャーからか、それまでのサーフィンが見られず、精彩を欠く。一方、森 大騎はビッグセットを掴み、ショートボードのようなアグレッシブなマニューバーを見せ、パワーハウスの桜岡甲太は力強いノーズライドからフルレールのターンを披露。ハイポイントを揃えてヒートをリードした。

終了1秒前の奇跡。喜納元輝

残り時間5分を切り、喜納元輝が逆転に必要なスコアは5.5。喜納はライトにテイクオフするとバックハンドで長いハングファイブでチャージするも僅かに逆転出来ず。残り時間は1分。そして、カウントダウンが始まり、ラスト1秒。左奥からレフトを捕らえた喜納元輝は、ハングファイブ、そして得意の深いボトムターンからカービング・ターン。さらにハングファイブから再びカービング・ターンという多彩なコンビネーションを見せ、インサイドまで乗り繋いだ。そのライディングにジャッジは、6.75を与え、喜納元輝は大逆転でファイナルへ進み、グランドチャンピオン獲得への望みを繋いだ。

 

女子は植村未来が今季3勝目をあげ、グラチャンに花を添える。
植村未来

女子のファイナルは、昨年のグランドチャンピオンである小熊 明美、一昨年のグランドチャンピオンである植村 未来、今回プロ合格を決め初ファイナルの吉川 広夏、今年プロになりファイナル初進出の林 未来というベテラン対ルーキーの対決となった。ヒートスタートから、小熊がフォアハンドで精度を上げたハングファイブを含むハイパフォーマンスで5.5をスコア。グラチャンの植村もスタートからライトの長い波を掴み、得意のバックハンドで4.75をスコアする。ヒート中盤、小熊が再びグッドライトをつかみ、しっかりと技を入れて4.10をスコア。トップに躍り出る。2位に植村、3位に吉川、4位に林で後半戦へ。そしてヒート終盤、植村がハングファイブからカーヴィングとリエントリーのコンビネーションで6.50をスコア。グランドチャンピオンの貫禄を見せて、今シーズン3度目の優勝を決め、2度目のグランドチャンピオンに華を添えた。

 

喜納元輝は優勝してグラチャンを決めるのか。

 

ファイナルで優勝すれば喜納元輝のグランドチャンピオンが確定する。そんな喜納元輝は、スタートからライトの波を掴み、バックハンドでリエントリーとカーヴィング、そしてインサイドで再び長いハングファイブを決める素晴しいコンビネーションを見せて6.00をスコア。幸先の良いスタートを切る。シャープなサーフィンを見せる新城はレフトで5.00をスコアして応戦。同じチームの尾頭信弘のグラチャン獲得をアシストする意味でも、気合い入ったサーフィンを見せる。同じ様に尾頭信弘の弟分である桜岡甲太も同じ思いだったはずだ。彼等が喜納元輝を倒す事が尾頭信弘の勝利に繋がっているのだ。

桜岡甲太

今大会絶好調だった桜岡甲太は、多くのサポーターの声援に後押しされて、長いハングファイブからのビッグリエントリーでワイプアウトするも4.50をスコア。ダークホースの岡部もカーヴィングで5.35をスコアする。再び喜納元輝がレフトの波を掴み,リエントリーからフローターでインサイドへ繋ぎ、更にインサイドでハングファイブを決めて7.25をスコア。ヒートスコアを13,25とし、ファイナルを大きくリードする。負けられない桜岡はチャージを繰り返し、ハングファイブとリエントリーで6.05をスコア。ヒートスコア10.55とするも優勝するには6.05が必要だ。喜納元輝をマークする桜岡甲太。しかし終盤に波は入らず,残り時間3分を切り、新城譲がハングファイブからのハイパフォーマンスを見せるも逆転ならず。喜納元輝が奇跡の大逆転で初のJPSAグランチャンピオンを獲得した。

誰がこんな結末を予想していただろう。関係者のグラチャン獲得の多くの予想は尾頭信弘だった。クオーターで尾頭信弘が破れ,セミファイナルの終了1秒前。そこが喜納元輝のターニングポイントだった。あそこで彼があの波を掴めなかったら、その時点で尾頭信弘のグランドチャンピオンが決定していた。運も実力のうちとは言うが,まさに自分で波を呼び寄せたかのように喜納元輝のところに波が入り,それを見事に料理してみせた彼の勝利だった。

 

これで今シーズンのJPSA及び、ASPジャパンの試合は終了。感動を今年もありがとう。来年度は更に盛り上がりを見せる素晴しいサーフィンコンテストが開催される事を願いたい。

 

JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」結果
男子 優勝 喜納元輝、2位 新城譲、3位 桜岡甲太、4位 岡部裕司
女子 優勝 植村未来、2位 小熊明美、3位 吉川広夏、4位 林未来

JPSAロングボード 2012年グランドチャンピオン:喜納元輝&植村未来
ルーキーオブザイヤー:松下智光&小栗瑞恵。

 

 

 

写真。フォトキャプション:山本貞彦

 

 

JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」喜納元輝
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」喜納元輝
喜納元輝。SFの最後の1秒の逆転劇は見事。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」喜納元輝
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」喜納元輝
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」2位 新城譲
3位 桜岡甲太。パワフルなライディングで観客を魅了。
4位 岡部裕司。ボードコントロールが上手くてスムース。
植村未来
優勝は植村未来。これで今期3勝目。おめでとう!
植村未来
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」優勝は植村未来
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」2位 小熊明美
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」2位 小熊明美
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」3位 吉川広夏
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」4位 林未来。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」尾頭信弘
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」尾頭信弘
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」秋本祥平。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」ユージン・ティール。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」石塚晃
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」石塚晃
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」松山欣則
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」森大騎
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」辻島司。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」佐久間秀人
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」佐藤広
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」表彰式 男子。
JPSA「KAIDO 鴨川ロングボードプロ」表彰式 女子。
JPSA表彰式 グランドチャンピオン。喜納元輝&植村未来。
JPSA表彰式 ルーキーオブザイヤー。松下智光&小栗瑞恵。

 

ドナルド・タカヤマ氏への黙祷も行われた。

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また今大会の情報はJPSAのオフィシャルページに掲載されています。