櫻岡甲太が悲願の初優勝、吉川広夏が2連勝。JPSAロング第3戦「RealBvoice千倉プロ」

櫻岡甲太が悲願の初優勝、吉川広夏が2連勝。JPSAロング第3戦「RealBvoice千倉プロ 」 


女子優勝の吉川広夏と男子優勝の櫻岡甲太

 

Text&Photos: Yuriko Yonechi


2016年5月28日(土)、29(日)と千葉県南房総市の千倉海岸で開催されたJPSAロングボード第3戦「RealBvoice千倉プロ supported by 三瓶工務店 昭和エンジニアリング」。2日間に渡って天気も良く、サイズは腰~胸肩サイズ、ロングボードの試合にとって素晴らしい波のコンディションの中で行われた。


 

初日はトライアルと本戦の男子ラウンド3、女子ラウンド2まで2バンクを使って消化した。トライアルでは米本好希がトータル12.34ptをスコアしプロ合格、また石川県の井本勝也がアマチュアシードから本戦ラウンド3を勝ち上がりプロ合格を果たした。


今回は惜しくもQFで敗退した秋本祥平

 


ファイナルデーは、初日よりも少し波のサイズがダウンするものの風もなくクリーンなアベレージ腰腹サイズの波が続き、グッドコンデイションの中で試合は進められた。

 

試合の始めは漁港側のバンクに波が割れており、選手たちは漁港側から川向こうへのライトブレイクを中心に試合を運び、ノーズからのリエントリーでプロの技を見せていた。

 

多くのギャラリーがヒートを真剣に見つめる

 

ラウンドが進む中、中央寄りのバンクが割れ出し、ライト、レフトともにライダブルな波が入り、セットの良い波を良い位置からキャッチし、上手くインサイドまで乗り繋いだ選手が男女ともに勝ち上がって行った。

 

午後、セミファイナルヒートあたりから、風によって面もややざわつき始め、潮も引いて波のブレイクもワイド気味になり、いかにポテンシャルのある波を見つけて上手くまとめれるかで勝敗が分かれた。

 

優勝の吉川広夏

 

 

女子ファイナルは優勝経験のある顔ぶれが揃った。第1戦3位、第2戦7位の菅谷裕美、2010年に千倉プロでトライアルから勝ち上がり優勝した筌口聡子、2014年、2015年度のグランドチャンピオンで第1戦2位、第2戦優勝の吉川広夏、第1戦優勝、第2戦2位の田岡なつみの4名。

 

安定感のノーズライドを見せる吉川広夏

 

 

田岡はオープニングからセットの波を掴むが、ブレイクが速くポイントが出せなかったものの、2本目でステップバックをしながらノーズでインサイドまで繋いで4.25をスコア。菅谷は右奥からライト方向にノーズ、リエントリーで3.5を出す。筌口もレフト方向に長いノーズライドをきめて4.35と出して行く。

 

 

2位の田岡なつみ

 

そんな中で吉川は1本目から器用な長いノーズライドを見せて6.0を叩き出した。そして田岡は4本目でバックサイドのノーズ、リエントリーのコンビネーションサーフィンをきめて6.25をスコア。

 

3位の筌口聡子

 

その後、吉川が首位にたち、田岡もすかさず波をキャッチして逆転を試みる。菅谷、筌口もポテンシャルのある波を探して追うが、4点代を超えるライディングをまとめられない。

 

4位の菅谷裕美

 

 

そうして田岡が波のパワーゾーンを落ち着いて乗りこなして最後の1本を5.85とまとめて逆転。しかしながら落ち着いて最後の波を捉えた吉川はスタイリッシュでテクニカルなノーズライドを見せて7.25というハイスコアを叩き出して田岡を倒し、第2戦に続く見事な優勝をきめた。

 


 

2年連続グランドチャンピオンでますます力をつける吉川は「今までの千倉の試合で1番良い波で試合をさせてもらいました。

 

シングルフィンのちょっと重たいボードを使用して、最初のヒートは上手くハイポイントを出せたのですが、セミファイナルでは2位上がりで、他の選手とポイント差も少なく、ハラハラして焦りもあって無駄な波に手を出したりと駄目な部分もたくさんありました。

 

そういうところをファイナルで上手く調整して、じっくり波を待てたので良かったと思います。2位のなつみちゃんは友達であり、ライバルであり、お互い尊敬し合える仲なんです。

 

オフシーズンに一緒にオーストラリアに行って世界の選手と戦ってお互いレベルアップして来れたので、2人で女子のレベルを上げたり、盛り上げたりできるようにお互い高め合っていければと思っています」とコメントをくれた。

 

 

プロ10年目に初優勝をきめて担がれる櫻岡

 

 

男子ファイナルへ進んだのは、第1戦4位、第2戦9位のユージン・ティール、第1戦3位、第2戦優勝の畑雄二、第2戦で3位と好調の藤井辰緒、第1戦、第2戦5位の櫻岡甲太となった。

 

落ち着いた試合運びを見せる櫻岡甲太はしっかりとポテンシャルのある波を見極めて、長いノーズライドからのリエントリーを上手くきめて、このヒートのハイポイントである6.25を叩き出した。


優勝の櫻岡甲太

 

また、さらに2本目も波のパワーゾンを上手く使いながら、ハングファイブ、ハングテンを入れてインサイドまでまとめ、6.0をスコア。他の選手も、ポテンシャルのある波を探して4点代~5点代のポイントを重ねて最後まで櫻岡を追いかけるが逆転ライドをなかなかまとめられない。


前回優勝で勢いのある畑雄二は今回2位

 

 

波を良く読み、ノーズ、リエントリーと器用に入れながら実力を見せてくれた畑も最後まで逆転を試みて終了間際にレフトの波を掴み、ノーズ、リエントリーとインサイドまで繋ぐが、スコアは6.00と及ばず、2位でフィニッシュ。

 

櫻岡甲太が自身のスポンサーが特別協賛する大会で悲願のプロ初優勝を成し遂げた。

 


ユージン
3位のユージン・ティール

セミファイナルで昨年のグランドチャンピオンの森大輝を倒してファイナルに進出したユージンはハングファイブ、カービング、リエントリーなどバリエーションのある技を見せ、トータル10.15で3位。

4位の藤井辰緒

 

6人の孫がいるという宮崎のベテランの藤井は安定感のあるノーズライドとリエントリーでインサイドまできっちりと乗り繋ぎ、トータル8.45で4位となった。


初優勝のうれしい洗礼を受ける櫻岡

 

スポンサーをはじめ、先輩後輩、多くの友人たちから初優勝の祝福を受けた櫻岡は、「すごくうれしいです。ファイナルまでは自分らしさを出せない感じで全然だめだったのですが、ファイナルで波がたまたま来てくれて、自分らしさをだすことができました。


 

プロ10年目で初優勝できて、しかも自分のスポンサーの試合だったので最高です。次もまた優勝できるように頑張りたいです」と喜びを語った。

 


 

天気、波に恵まれた今大会。ロングボードのプロたちが千倉のグッドコンディションの波の舞台で数々のプロの技を見せてくれた。ロングボード愛好者が増えている昨今、ぜひプロの技を見て自身のライディングの糧にし、サーフィンの楽しさを増やして頂ければと思う。これからグランドチャンピオン争いも面白くなってくるだろう。

 

次戦のロングボード第4戦は調整中なので、以下のJPSA(一般社団法人 日本プロサーフィン連盟)のホームページをぜひチェックして下さい。

 

 

【結果】

男子
優勝:櫻岡甲太
2位:畑雄二
3位:ユージン・ティール
4位:藤井辰緒

女子
優勝:吉川広夏
2位:田岡なつみ
3位:筌口聡子
4位:菅谷裕美