小川直久インタビュー。w/フォトグラファー神尾光輝 THE REAL  魂のサーフィン〜ザ・ノースショア

世界レベルの泳力を持つ、日本屈指のサーフィン・ウォーター・フォトグラファー、神尾光輝。今回サーフメディアの企画として立ち上がった「THE REAL  魂のサーフィン〜ザ・ノースショア」では、神尾光輝がライフワークの場と考えるサーファーの聖地であるハワイ・オアフ島ノースショア。その波の虜となり、毎年ノース行脚を続ける日本人サーファー達にフォーカス。神尾光輝の目線でサーファーを選び、彼の言葉でインタビューする。

 

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第二回は小川直久。ハワイ・オアフ島ノースショアのパイプラインで行われる「パイプ・マスターズ」で日本人初のパーフェクト10を記録した小川直久は、1995年の JPSAグランドチャンピオンであり、今年46歳を迎える現役プロとして再び頂点を目指しチャージを続ける。「ノースショアでの1本」の価値や凄さを痛感し、ノース行脚を続けるナオに話を聞いた。

 

 

 

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初めてノースショアに行ったのはいつ?そのキッカケは?

 

初めて行ったのは16歳の時で、ずっと「行きたい!」と思ってて、当時アマチュアの試合で勝つと航空チケットが貰えて、それを使って川井幹雄さんに連れて行ってもらいました。

 

その初めてサーフィンしたポイントは?

 

初めてサーフィンした場所?!・・・ちょっと、覚えていないですね・・・多分、ハレイワかタートルベイだった気がします。

 

自分の身体がこのコンディションに対応出来る状態か?とか気にしてますね。

 

初めてのノースショアの印象や感想は?

 

初めてのノースショアは1ヶ月滞在して、波のコンディションがそこまでよくなかったんですけど、初めてエントリーしたハレイワ・インターナショナルで4位になって自信もついて、帰るまでに「パイプラインやりたいな~」と思ってたら、帰国数日前に6~8フィートくらいにアップして、川井さんに「やらないの?!」って言われて入って、ビデオ撮ってもらいました。

 

で、ボディボードのドロップインして思いっきり怒られて、あと待ってたら6フィートくらいの三角ピークが目の前に来て「よ~し行ってやろう!」と思って行ったら、思いっきり刺さっちゃって、「なんだこの波?!」って衝撃受けたのが、印象に残ってますね。

 

ノースショアでサーフィンする時に気をつけていることは?

 

やっぱりローカルとのコミュニケーションが大事で、ピークに居る時はローカルや人を気にして、パドルアウトする前は「このサーフボードが、このコンディションに適しているのか?」あと「自分の身体がこのコンディションに対応出来る状態か?」とか気にしてますね。

 

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今までにノースショアでサーフィンしていて、ケガや危険な経験はある?

 

一番ヘビーだったのは20歳くらいだったと思いますが、パイプラインでワイプアウトしておしりから落ちたら、そのままリーフにヒットして、ひどい打撲になって2ヶ月サーフィン出来なかったことですね。

 

ノースショアでのサーフィンで影響を受けた人はいる?

 

僕のノースショアのルーツは完全にリアム(リアム・マクナマラ)ですね。何故かって言うと、初めて川井さんと来た時に、面識なかったリアムの家にステイすることがあって、その時に、ロッキーポイントやパイプラインでのサーフィンの仕方、サーフボードの選択、全てを教えてもらいました、だから師匠ですね。

 

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今までのノースショアで印象に残っている波、セッション、シチュエーションとかある?

 

いっぱいあるな~~・・・ひとつは、5人ぐらいしかいないパイプラインでケリースレーターも入ってて、仲間同士で争うことなく順番に波に乗れたセッションは忘れられないです。でも、その時にスゴイのキメたのか?!と言ったらそんなことはなかったんですけどね。

 

後は、セカンドリーフのパイプラインで10人くらいしかいなくて、その時に一緒に行動していたピーターという、リアムの友達でカリフォルニア出身のサーファーが波を譲ってくれて、その波が忘れられないですね。

 

で、後にその時の写真が SURFER MAGAZINE の PHOTO ANNUAL に見開きで掲載されてて衝撃でした。その時の波が10~12フィートのセカンドパイプで、ほんとスゴい波だったんですよね。

 

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ノースショアで用意しているサーフボードは?

 

基本的に僕がフォーカスしているのが、ロッキーポイントとパイプラインとハレイワで、ロッキーは日本で使用している 5’8 ~ 6’1を使って、ハレイワは 4フィートくらいまでは 5’8 ~ 6 代で、それ以上になったら 6’3 、6’6 で、最大は 6’10 までです。

 

パイプラインは小さい時はやらないけど、用意しているのは 6’10 、7’0 、7’2、 7’4 、7’6 、7’8 で、それを各2本ずつ持ってたりしますね。特に 7’4 、7’6 は、僕が一番好んでるコンディションで使うから3本くらい用意してます。

 

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ノースショアでのサーフボードのコンセプトは?

 

僕が10ポイント出した時期とか、ずっと植田さん(植田義則氏)のYU サーフボードに乗せてもらっていて、リクエストする以前に出来上がって来るボードがフィットしてたんで、基本おまかせでした。今はその時のフィーリングや、ハワイのシェイパーのボードに乗ったりして、スポンサーのシェイパー Hamo (ハモ)にフィードバックしてシェイプしてもらってます。

 

でも僕のハワイでのボードは川井さんのボードから始まり、YUさんのボードがベースになってました。パイプラインのサーフボードは正直細かいところまで分からなくて、その中でも、テイクオフが早くてテールが滑らないボード、ということを求めていますね。

 

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ナオは一時ノースショアに来ない、空いていたシーズンがあったんだけど、それはなんで?

 

4シーズン空いたんだけど、その当時スポンサーが無くなったり、お店をオープンさせるとか、色んなタイミングが重なったこともあって、すごく行きたかったけど行けませんでした。でも「これを乗り越えて絶対にまた戻る」という強い気持ちはいつも持っていたんで、また戻って来れたんだと思います。

 

久しぶりにノースショアに戻って来た時はどんな感じだった?何か変わっていた?

 

全く変わっていなかったです。気持ちは不安なところもあったけど、昔からのメンバーと新しいメンバーが居て、何年か空いてしまったいたのに昔からのメンバーが覚えていてくれて、ウェルカムしてくれてすごくうれしかったですね。混んではいたけど意外と乗れて安心しましたね。

 

 

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最終的にノースショアの波を乗りこなせれば、世界どこの波でも乗れるんです。

 

日本のトップアスリートサーファーにとって「ノースショアの必要性」は、過去の経験からどう見てる?

 

最終的にノースショアの波を乗りこなせれば、世界どこの波でも乗れるんです。で、今までの歴史を見ても、CT最終戦、QSプライム(QS10,000)2戦がトリプルクラウンで行われ続けていて、単純にこのプライム2戦に勝てばクオリファイできますよね。

 

ハワイは絶対やらなければならないんですよ。歴史もあるし価値もあるし、「各国のビーチブレイクで勝ちたいと思ってもいいけど,最終的にノースショアの波が乗れなければ絶対にクオリファイできないよ」と言いたいです。

 

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おそらくトップアスリートサーファーはケガを意識してノースショアを避ける傾向があるけど、ノースショアでのケガのリスクはどう考える?

 

正直、考えない方がいいです(笑)。別にチャージしなくてもいいですよ。自分の乗れる波を探せばいいじゃないですか。実はチャージしなくても乗れる波はあるんですよ。

 

でもハワイはそんなに甘くなくて、やり続けていないとチャンスも見つけ出せなくて、やってればチャンスはありますからね。そうやって考え方を変えてやればケガのリスクも少ないと思います。自分もケガを意識してしまった時期もありましたが「絶対やった方がいい」と言いたいです。

 

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日本のトップアスリートサーファーにも「ノースショアでの1本」の価値や凄さを感じてほしい

 

ケガのリスクがあってもサーフィンする、そのモチベーションはどう保っているの?

 

おそらく「乗らなきゃ」って思ってる人は、そのモチベーションが生まれないと思うんですよ。僕は純粋に「乗りたい」という気持ちでやってました。確かに1本キメるのは大変なんですよ。でも17、18歳の時に1本スゴイのキメて。そのライディングをシークエンスでスポンサーが1ページずつ広告出してくれたんですよね。

 

その波をメイクしてピークに戻る時にローカルサーファーのショーン・ブライリーが讃えてくれて「この感覚は2ヶ月以上ハッピーだから」って言ったんですけど、僕は1年ハッピーだったんですよね。

 

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その時に「価値観」が変わって、1本キメることの意味が分かりました。パイプライン・マスターズで10ポイント出した時、実はその年は負け続けてモチベーションが下がって試合に出るのがイヤになっちゃって、試合に出ないで早く帰りたかったんですよね.

 

でも当日波もスゴくなってスイッチ入っちゃって、それであの10ポイントに繋がって、結果的にあの1本がワールドツアーで負け続けて自信をなくしていた事などを洗い流してくれた。だから日本のトップアスリートサーファーにも「ノースショアでの1本」の価値や凄さを感じてほしいと思います。

 

家族3人で
家族3人で

 

ここ数年は息子のタクヤ(12歳)と一緒にノースショアでサーフィンするようになって、昔とは全く変わったカタチでノースショアに来ているんだけど、そこに関してはどう感じている?

 

そうですね全く違いますよね。僕は割り切っていて、パイプラインとロッキーポイントはブレずにフォーカスして、そこは自分のサーフィンを優先していて、それを息子が見て何かを感じてほしいと思います。

 

それ以外は、息子がその日にサーフィンしやすいノースショアのポイントやウェストサイドの方にも行ったりします。普段行かないところに行ってます。そのおかげで、今まで見て来てないハワイを見れたり知れたり、新しい発見があって感謝していますね。

 

 

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ハワイの前田さんハウス(前田マヒナの父)にステイさせてもらっている Naohisa’s private photo
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ココ・ホーとツーショット。(左)ビッグイベントは息子のタクヤと観戦。(右) Naohisa’s private photo

 

息子に対して親心という意味で「こうなってほしい」とか希望や期待はある?

 

純粋に、自分がロッキーやパイプラインでやってるところを見て「オレもやりたいな」と思ってくれればいいですね。それでも芽生えなかったら、それはそれでしょうがないと思いますけど。

 

息子がノースショアでサーフィンするようになって3シーズン目なんだけど、その成長とか感じる?

 

すごく感じてます。会話の中で「自分がサーフィン出来るか?」波を気にするようになってて、パイプラインでもアタマくらいだと「自分でもできるかな?」とか言葉に出て来るようになった。それは「自分もやりたい」と思い始めた成長だと思います。言葉に出て来ることに、うれしく思いますね。

 

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改めて今シーズンのノースショアはどうだった?

 

自分の中では物足りなかったです。3週間という短い期間なんで、そこで波を当てるのは難しいんですけど、準備はいつでも出来てます。来シーズンはローテーションを変えて行ってみようと思ってます。

 

「もう一度表彰台に立ちたい」と言う目標があるからです。

 

今後の目標や方向性は?

 

ノースショアは、この3年はパイプラインでクラッシックなコンディションでやってないんで、コンディションが期待できる時期に行こうと思います。日本での活動に関しては、今年もJPSAに出て「表彰台に乗りたい」「優勝したい」という従来の目標に向って行きたいと思います。それと、自分のお店や地元鴨川、サーフィン業界も盛り上げて行きたいですね。あとは、級検定やコンテストなど息子のサーフィンを充実させてあげたいと思ってます。

 

今年46歳になるけど体力の衰えとか、モチベーションの低下とか感じる?

 

衰えはすごく感じますよ。どう考えたって10代20代の身体とは異なりますからね。それでもやるからには、そこと戦わなければならない。普通にやってたら通用しないんで、それを賄えるトレーニング環境を見つけ出して、体力を維持してます。それと、メンタルトレーニングもやってモチベーションを保てるようにしています。

 

各スポーツにもレジェンド的な40代、50代な現役アスリート選手が居られますけど、何か影響されることはある?

 

ありますね。そういったアスリートのインタビューや本を読んで参考にしたりしています、勇気をもらってますよね。とにかく、この年齢は普通にやってても通用しないんで、普通じゃなく酷使してやってます。30年以上サーフィンして来て、サーフィンやサーフボード、トレーニング、体調管理、今が一番意識して研究してて、ずっと考えていますよ。それは何故か?!と言えば、「もう一度表彰台に立ちたい」と言う目標があるからです。

 

高齢アスリートに伴う、賛否両論、周りの声なんかは気になるの?

 

特に気にならないです。「違う方向から自分に興味を持ってくれている」と、うれしく思います。良くも悪くも気にしてくれている訳で、本当に興味がなかったら話題にもならないことだと思うので。

 

最後に、ノースショアはナオヒサにとってどんな場所かな?

 

僕にとってノースショアは、自分のサーフィンの限界を試す、限界を知る場所ですよね。そして、その限界を超えるところです。

 

 

 

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小川直久が経営するサーフショップ https://regalosurf.com/