一般社団法人日本プロサーフィン連盟が役員新体制へ。牛越峰統から細川哲夫へ理事長のバトンを渡す。

左から小川直久副理事、細川新理事長、牛越理事長、久米 寿朗事務局長。

一般社団法人日本プロサーフィン連盟(JPSA)は役員の新体制として、理事長ならび副理事長の交代を発表。昨年末の理事総会において、理事長ならび副理事長の交代が決議され、4期8年間、理事長を務めた牛越峰統氏が退任して名誉顧問へ。後任として2018年4月1日より、細川哲夫氏が新理事長に就任することとなった。

 

牛越峰統JPSA理事長
牛越峰統JPSA理事長

 

2003年のグランドチャンピオンである牛越峰統氏は、2009年にプロ選手を引退、その翌年の2010年に理事長に就任し、腰添健氏からタスキを渡され、JPSA新時代を築き上げた。そんな牛越峰統氏がサーフメディアの独占インタビューに答えてくれた。

 

プロ選手を20年間続け、選手兼任の理事を経て理事長という立場になったので、全体の流れは把握していたつもりでした。でも裏方となった時の不安は正直ありましたね。それと歴史のある連盟のなかで、それを継続していくことにプレッシャーは感じていました。」と、就任当時を振り返る。

 

常に現場で指揮をとる牛越峰統理事長。
常に現場で陣頭指揮をとる牛越峰統理事長。

 

「昔があってこその今なんです。全てが自分のやり方でやってこれたとは思っていないですね。あるものをしっかり継続させるとか、それほど舵は取れなかったです。閃きとかはあったんですけど、ツアースポンサーも獲得できなかったり実現できなかったことも多かったです。

 

自分が理事長になって何が良かったかなって思うと、選手目線で見れたということと、選手と理事長の距離が近かったこと。でも、それは逆に選手にとっては厳しかったかもしれませんね。選手からのリクエストに対して、出来ないものは出来ないってスパッと言ってましたから。」

 

「自分の代では実現できませんでしたが、年間のツアースポンサーを獲得することや、各イベントごとのスポンサーを探すことが本当に苦労でした。ツアースポンサーがあるのとないのではイベントで出来ることが大きく変わってくるんです。

 

そして、いま振り返ると東日本大震災の年に、各地で復旧復興が行われているなかで、日本最高峰の試合を海でやるということを理解していただくのが一番ハードでしたね。」と、8年間の苦労話しを語った。

 

シニア・マスタープロもスタートさせ、名誉顧問である川井 幹雄氏など往年のスターたちが再びコンテストへ戻った
シニア・マスタープロもスタートさせ、名誉顧問である川井 幹雄氏など往年のスターたちを再びコンテストへ戻した

 

現在のJPSAは、日本のサーフィン界を牽引してきた多くのプロ選手が理事長の牛越峰統氏をサポートすることで、チームが一丸となって日本最高峰のプロサーキットを支えている。

 

「コンテストディレクターの河野正和、ヘッドジャッジの沼尻和則というように、彼らもグランドチャンピオン経験者です。そんな彼らをはじめ自分が理事長になったことで多くの人が協力してくれました。本当に感謝です。実績を残してきたプロがやることで現役のプロ選手たちも付いて来てくれたんだと思います。」

 

 

後任として2018年4月1日より、副理事として牛越氏を支えてきた細川哲夫氏が新理事長に就任、選手兼理事だった小川直久氏が今回副理事に就任。新しい風が吹く、新生JPSAに期待することに関しても語った。

 

JPSA新理事長となる細川哲夫氏。
JPSA新理事長となる細川哲夫氏。

 

「JPSA史上初のプロロングボーダーだった理事長の誕生です。ロングボードのシーンも若手が台頭する状況もあり、連盟としては新しい風を入れていくことも必要なんです。細川さんに変わって、副理事長に小川直久。僕が360度しか見えなかったものを720度見渡せるようなメンバーだと思っているんです。僕の時よりも、外からのモノがバランス良く、もっと入ってくるかもしれません。」

 

小川直久JPSA副理事長
小川直久JPSA副理事長

 

「彼らには、自分には出来なかった大きなクライアントさんをつけて、賞金総額をあげたビッグな試合をしてもらいたいですね。」と、新生JPSAに対する抱負を語り続けた。

 

 

「そして、プロサーファーの選手後の職業。昔はインストラクター制度とかありましたけど、そのような窓口も作って選手を終えてからも上手く仕事を繋げられるようなこともやって行ってほしいですね。でも事務局もそれほど大きいモノではないので、難しいことなのだとは思いますが。」

 

今後、日本のサーフィン業界の礎を築き上げた重鎮たちが名を連ねる名誉顧問のひとりとなる牛越峰統氏は、「大先輩たちの中に入って、ハブ的な役割ができて、連盟の後方支援が出来たら良いなって思っていますね。」と、続けた。

 

 

現役時代はハワイのビッグウェイブにチャージしていた牛越峰統プロ photo from http://www.u4surf.jp/
現役時代はハワイのビッグウェイブにチャージしていた牛越峰統プロ photo from http://www.u4surf.jp/

 

 

「JPSAに良いスポンサーが付くような支援もしながら、太東にある自分のサーフショップでサーファーも育てたいですし、あとは少し体も衰えたんで、またサーフィンを少しやろうかなって思っています。リフレッシュして、ハワイのビッグウェイブもやりたいし、サーファーに戻ろうかと思っています。」

 

 

日本サーフィン連盟(NSA)、日本プロサーフィン連盟(JPSA)、ASPジャパン(現WSLアジア)の3つの団体のジャッジ方法の違いや在り方が物議を呼んでいた時代もあったが、世界を目指すという共通の目標のもとに手を組み、今では以前のような声は聞かれなくなった。逆にそれぞれの役割が明確になり、良い関係が築かれている状況ではないだろうか。

 

プロを甘やかしているという酷評する声もあるなか、厳しい時代にある日本のプロサーフィンの中で、重要な役割を担う団体としてのポジションを確立したJPSAは、日本のサーフシーンになくてはならない存在となっている。

 

そして、牛越理事長には、8年間という長い間、大役のお勤め本当にご苦労様でしたと労いの言葉を贈りたい。そして、新しい船出となる細川哲夫JPSA新体制にエールを送りたい。さらに今回の東京オリンピックを機にサーフィン界が一致団結して、素晴らしい環境が整備されていくことを願いたい。

 

がんばろう!サーフィン日本!

 

一般社団法人 日本プロサーフィン連盟公式ウェブサイトhttp://www.jpsa.com/