波乗りジャパンメンズ田中大貴、大音凛太、小笠原由織が勝ち残り。日本チームの国別順位は2位!

堀越力  Photo: ISA / Sean Evans

写真、リポート:永島未知子 ビアリッツ、フランス、

 

「ISA World Surfing Games フランス2017」の大会7日目。終日波がなくレイデイとなった前日6日目の影響と、ちょうど新月に当たることで潮回りが通常より大きいことが考慮されヒート時間が20分から15分に縮小された。

 

 

 波乗りジャパンチームからの出番はまずラウンド2の大音凛太、すぐ次の試合に小笠原由織と続いた。波のサイズはセットでコシハラぐらい。朝から気温が高く、9時台というのにビーチには水着姿になる人たちがすでに続出。ただそれでも時間が早いとあって、人出が多すぎず調度よい賑わいだ。

 

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 そんな会場の雰囲気のもと、立て続けに行われた大音凛太と小笠原由織のヒート。結論からいうと2人とも1位でラウンドアップを果たした。大音凛太はオープニングライドで縦にふれたターンで5.33を出し、2本目で精度の高いターンを2発いれると7.50。ビーチで見ていた波乗りジャパンの他選手も「フィニッシュがよい!」と仲間を讃える。そのまま逃げ切り1位通過となった。

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大音凛太「2日ぶりの試合。昨日は波がなかったからノーサーフで(今日試合するのが)不安だったけど、いい波に乗れてよかった。最初に2本乗ってスコアが出たから落ち着けた。それで後半あまり乗れなかったけど、でも(戦い方としては)そっちの方がよい」

 

ホッとした表情の大音驎太。男子選手の中で最年少である
ホッとした表情の大音凛太。男子選手の中で最年少である

 

 続く小笠原由織もヒートの先陣を切ると、2本目でターンを4発もいれるサーフィンを披露。それに8.83のエクセレントスコアがアナウンスされた。ラウンド1のサーフィンしか見ていない者からしてみれば、まるで別人、なんてポテンシャル! 続く3本目でも6.17と強いバックアップを得ると、2位以下を一時コンビネーションにまで追い込むほどぐいぐいリードを広げた。そしてダントツトップのまま試合終了。

 

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小笠原由織「2本目は自分でも手応えがありました。あれが本来の自分です(笑顔で)。ラウンド1のときに比べると別人のようですか? 違いがあるなら、波が見られるようになったことです」

 

小笠原 Photo: ISA / Ben Reed
小笠原 Photo: ISA / Ben Reed

 

ラウンド1のときとまるで別人のようなサーフィンをした小笠原由織。間近で見たくなり思わず波内際までいってしまった。人を惹き付ける引力があった

 

IMG_8073対戦相手国の応援チームは選手と近い波打ち際に固まっていたのだが、日本チームだけ離れた砂浜で応援。そちらの方が集中できる

 

干潮に近いのと、潮の引きが新月で強いため、本日はコーチが選手サイトから波を見て、それを砂浜にいるスタッフに伝えていた

 

 波乗りジャパンとしてラウンド2最後の出番となったのが田中大貴。潮は干潮に近づき波は少しサイズダウン。田中大貴は2日前のラウンド1で調子が良さそうだったのでこれまたトップ通過の期待がかかる。

 

 ヒートが始まるとセットが入り、それぞれの選手が波にチャージする中、田中はターンを3発入れ7点をスコア。その後は波が落ち着き、後半に入るまで田中大貴はその1本で暫定トップにつける。後半NZの選手に追い上げられ、1位の座を譲り渡すも終了間際に乗った1本でバックアップを伸ばし2位でラウンド2を通過した。

 

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ラウンドアップを果たしたものの、ちょっと調子がかみ合ってなさそうな大貴くんに「大丈夫だよ、1本の点数は一番高い」と声をかける波乗りジャパンスタッフ

田中大貴「危なかった。あまり調子が出なかった。気持ちを切り替え、次は板も変える予定。ラウンド3の相手を見たらCT選手がいる。ここを上がれたら自分の中で凄いことになる。楽しみ」

田中大貴
田中大貴

 
 男子ラウンド2が終わった時点で、ラウンド3まで4名全員進んだのは日本とフランス、ブラジル、メキシコの4カ国のみ。参加国数は47。日本は活躍しているといっていいだろう。しかしここで終わらず、さらに続けていきたい。上げ潮に変わりながらラウンド3が始まった。

 

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 ラウンド3の5ヒート目に登場したのが堀越力。潮はかなり上がっていて、テイクオフしてから最後のショアブレイクになるまで技をかける選手がいるほど。観客との距離がとても近く、見る分には迫力があっていいが、選手となるとやりづらそうなシチュエーションだ。積極的に波にチャージする堀越力。しかしなかなか点数がのびない。ただしそれは他の選手も同様でヒートの流れを決める1本が誰からも出ないまま終了まで近づく。

 

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堀越力はその時点で暫定2位。そのままで試合が終わると思った最後の最後、カナダの選手がレフトメインの波の中でレギュラー方向へテイクオフ。「逆転されたかもしれない」とビーチにいる波乗りジャパンチーム。スコアは試合終了のホーンが鳴っても出ない。予想スコアが外れてほしいと願いながらも、残念ながら逆転されたことがアナウンスされたのは堀越力がチームのいる場所に戻ってきてからだった。

 

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堀越力「全然、勝てたヒートだった。こんなところで負けてられない。でも体調管理をおもに噛み合なかった。これからは他の選手の試合を見て勉強します」。

 

 2日前に高熱を出し、本日は「喉以外は回復した」と言っていたが、それでも本調子で試合をしたかっただろう。天候、気温の急激な変化、それに朝から夜21時まで行われる大会スケジュール。海外の初めての場所での試合は、試合に辿り着くまでも色々試される。特にフランス・ビアリッツのあるペイバスクは天気が変わりやすい場所で有名だ。

 

 

 

 それを示すように、4時間の満潮休憩をへて再び大会が開始された20時には南からの風が強烈に吹き出し、昼間の青空が嘘のような曇り空へと一気に変化。ちょうど小笠原由織のヒート時間と重なり、激しい夕立がくるような不安定な空気のなか入水する選手たち。しかしその間ついに雷がなり、空が光る。

 

それを合図に選手、ギャラリーたちは海から一斉に引き上げられ大会7日目は強制終了。小笠原由織のラウンド3は翌日、大会8日目の第一ヒートへと持ち越された。

 

 潮回りでヒート時間が短縮されたり、雷で入水してヒート準備していたのに中止となったり。また堀越力の体調不良もこの土地の変わりやすい気候が原因ともいえる。大会7日目は特にペイバスクの自然に翻弄された1日となった。

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プレスルームの外に置かれた植木が風で倒れました。小笠原由織くんのヒート前に終了となったこと。それがいい方向に出てくれることを願います

 

 大会8日目は天気も回復、安定し波も少しサイズが上がることが予想される。ファーストコールが現地時間8時15分(日本時間15時15分)。予定でいけば8時30分(日本時間15時30分)に小笠原由織のラウンド3ヒート9(ヒート#105)、9時(日本時間16時)に大音凛太のヒート10(ヒート#106)、9時45分(日本時間16時45分)に田中大貴のヒート13(ヒート#109)が行われる予定。

 

「自分は負けて(試合内容に)すごく後悔した。みんなは後悔しないようベストを尽くしてほしい」と堀越力。キャプテンはここからサポートに専念します! 明日が波乗りジャパンの正念場。日本からの応援は届くので、よろしくお願いします!

 

2017 ISA World Surfing Games
開催国 ビアリッツ フランス Biarritz, France
開催日 2017年5月20日~5月28日(現地時間)

 

<派遣選手>

・メンズオープン

大音凜太 小笠原由織 田中大貴 堀越力

・ウィメンズオープン
大村奈央 7位
野中美波 17位

・スタッフ

酒井 厚志 (選手団長)
吉永 修 (マネージャー)
井本 公文 (マネージャー)
ウェード・シャープ(コーチ)
大石 純也(通訳)

オフィシャルサイト:

http://isaworlds.com/wsg/2017/en/